6月議会で質問を行いました。(2、コミュニティ交通について)
2009,06,30, Tuesday
今回は、6月議会で質問を行った問題のうち、「コミュニティ交通」について、ご報告します。要約は、「議会活動」のコーナーで報告します。ここでは、質問の全文を載せました。
(質問1)
宮前区有馬地区では、今年3月1日から28日までの4週間、有馬・東有馬地区コミュニティーバス導入協議会が実施主体となって、コミュニティーバスの運行実験がありました。6月18日のまちづくり委員会において、その報告がありましたが、その報告を踏まえ、いくつか、質問したいと思います。
この運行実験は、宮前区役所から宮前平駅を経由し、有馬・東有馬地域に至る循環路線で、9時から18時30分まで30分間隔で一日20本の運行を行いました。報告では、利用状況について、28日間の利用人数は推計値で7830人、うち、高齢者、障害者が3050人でした。これを、一便当たりの平均にすると、平日で16人、期間中の平均は14名でした。9時以降の運行という通勤通学を対象としない実験という制約の中では、平日の平均16名という数字は、需要が一定あると評価できる数字だと思いますが、見解を伺います。あわせて、高齢者・障害者の比率が4割近かったことの評価を伺います。
(答弁・まちづくり局長)
今回の有馬・東有馬地区コミュニティバスの運行実験においては、平日1便当たり平均16名の利用があり、沿線の方々の一定程度の需要が確認できたものと考えておりますが、収支バランスを考慮した場合には、より多くの方々にご利用いただくことが必要だと考えております。
さらに、利用者に占める高齢者や障害者の方々の割合が、4割弱を占め、当該地区における高齢者や障害者の方々の需要が特に高いことを伺えるものと考えております。
(質問2)
この間、協議会のみなさんが払ってきた努力は、相当なものだったと伺っています。こうして、実験までこぎつけたわけですが、今後の展開はどうなるのか、最終的は事業化の判断はどこが行うのか、伺います。
(答弁・まちづくり局長)
本市としては、地元協議会の皆様とともに、今回の運行実験の結果や利用者、地域住民の意向を踏まえ、課題及びその対応策を検討し、採算性の向上に向けて見直しを行い、試行運行に向けた支援を行ってまいりたいと考えております。
次に、事業化の判断につきましては、今後の試行運行の結果等を踏まえ、地元協議会、交通事業者、本市の3者で本格運行の実施を判断していくものでございます。
(質問3)
今後について、「試行運行(期間を延ばした運行)に向けた支援を行ってまいりたい」とのことです。しかし、報告の中でも、採算性の向上が強調されていますが、採算が見込めなければ、実施できないとするのは問題です。
報告では、本格運行における事業収支の試算を、利用者が200円払った場合の収入額を149万1000円、運行経費を342万6000円と試算、事業収支は、193万5000円の不足が生じるとしています。事業化にあたっては、採算性は、大きな壁となります。こうした協議会形式で行う場合、ルート単独でコミュニティー交通で採算をとることは、極めて困難だと思いますが、どう考えているのか、伺います。
(答弁・まちづくり局長)
本市のコミュニティ交通の運行につきましては、継続性や公平性などの観点から、受益者負担を原則としてるところでございます。
有馬・東有馬地区コミュニティ交通の今後の試行運行に向けた採算性の確保につい来ましては、今回の運行実験の結果や利用者、地域住民の意向等を踏まえ、運行日や運行時間帯等の検討、利用実態に応じた適切な運行計画の見直し、バスの回送区間の縮小、新たな利用者の掘り起こしなど、運行経費の削減策や事業収支の増加などの様々な対策を深めていくこととが重要であると認識しております。
本市といたしましては、今後とも地元協議会の皆様とともに、これらの採算性向上のための対応策について検討してまいります。
(質問4)
あくまでも、採算性を重視し、しかも、受益者負担の原則で、その費用負担をするのは当然との回答です。もちろん、通常の運賃を払うことに異存はありませんが、運行経費の責任を住民が負わなければならないという考えは、間違えです。
このルートは、有馬地域から区役所に行くのに、直通の便がなく、電車やバスを乗り継いでいかなければならないことから、直接アクセスを望む地域住民の声を形にしたものです。区役所周辺には、図書館・市民館・消防署など市の公共施設が集中しているところでもあり、この地域のアクセスを改善することは、行政の役割です。区役所へのアクセスの問題では、前回の議会で市長も「アクセスにつきましては、時間を要する地域もあるが、市民協働拠点としての区役所をさらに活用してゆきたい」と、交通アクセスの必要性について述べられています。区役所へのアクセス改善という視点からも、今回のコミュニティー交通について、市も主体的に、積極的に考えるべきだと思いますが、見解を伺います。
(答弁・まちづくり局長)
コミュニティ交通につきましては、地域の特性をよく知る市民の方々が、地域の課題の解決に向けて、坂が多い丘陵地や路線バスを利用しづらい地域における交通アクセスの改善等のため、身近な地域交通環境の整備を行うものであります。
このたびの有馬・東有馬地区コミュニティバス導入の運行実験におきましては、市民の皆様の話し合いから宮前区役所への運行ルートを選定したものでございます。
今後とも本市といたしましては、地域が主体となったコミュニティ交通の導入に向けた取り組みに対し、積極的に支援を行ってまいります。
(質問5)
川崎市もこの問題に取り組んで、相当の歳月がたっています。2000年度にはバス交通対策基本計画調査、交通空白不便地域の確認と市民ニーズの把握、小型バス・コミュニティーバス導入についての検討、バス交通に関する庁内検討会の設立が行われました。私自身、宮前区内のミニバス導入について、再三質問も行ってきました。足かけ、10年です。その間、宮前区内では、野川南台団地が自治会費によって運行に結びつけたものの、白幡台地域では、運行実験まで行いましたが、採算性を理由に、実現までには至っていません。今回のルートは、答弁にもあったように、有馬・東有馬地区から区役所や市民館・図書館へのアクセスが悪いことから、そういうルートが望まれたわけです。交通不便地域の解消や行政施設へのアクセスは、本来、市が責任を持って取り組むべき課題であり、財政面まで市民に押し付けるべきではありません。10年間に費やされた、地域住民の労力や市職員や民間事業者も含めた労力は、はかり知れません。今まで求めて来たように、コミュニティ交通が地域の足として定着するまでの期間、市として、初期投資だけでなく運行経費への支援を行うよう、支援の在り方を改めるべきです。市長の見解を求めます。
(答弁・市長)
地域が主体となったコミュニティ交通導入に向けた支援策といたしまして、本格運行の開始当初に大きな負担となる初期車両の購入費など、できる限りの支援を行っているところでございます。
しかしながら、持続可能なコミュニティ交通の運行につきましては、持続性や公平性などの観点からも受益者負担が原則であり、行政が継続的に補助を行うものではなく、地域の支え合いにより、実現すべきものと考えております。
(意見)初期車両の購入など「できる限りの支援を行っている」との答弁ですが、他都市では、事業が軌道に乗るまで運行経費の支援を行っている例は、いくらでもあります。「できる限りの支援」と言いますが、市が自ら支援の枠を決め、支援の制限を行っているだけです。
市長は「行政が継続的に補助を行うものではなく、地域の支え合いにより、実現すべきもの」と、考えを示されましたが、そもそも、交通空白・不便地域の解消および区役所・市民館・図書館などの公共施設への交通網の整備は、行政に、その責任があることを忘れた発言です。関係者のこれまでの努力と有馬・東有馬のデータも示すように、高齢者・障がい者の外出支援ともなるコミュニティ交通を、1日でも早く実現するために、支援の在り方の見直しを検討すべきことを、改めて、求めておきます。