石川けんじ
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2023年12月議会報告 仮放免について

12月7日に行われた日本共産党川崎市会議員団の代表質問は、議員みんなで質問を作り、井口議員が質問を行いました。「仮放免(かりほうめん)」の問題は、これまで、片柳 進前市会議員が一般質問で取り上げ、毎年の予算要望行ってきましたが、代表質問で取り上げたのは、今回が初めてで、私も勉強中です。ぜひ、ご意見をお寄せください。

仮放免の方の支援について

「仮放免者」とは、「非正規滞在者」として入国管理局に収容され、その中で「やむを得ない事情がある場合」など一時的に収容を停止し、身柄の拘束を解かれた方のことです。何かしらの切実な事情で帰国できないにもかかわらず、働くことが認められないことから収入がなく、健康保険にも加入できず、原則、「食べること」も「病院に行くこと」も全額自己負担で、きわめて困難な状況で暮らしています。

特別非営利活動法人 北関東医療相談会の行ったアンケート調査には、「冬の服や靴を買うお金も必要。サンダルも持っていない。スープを作るための小さなものを買うお金。私が買う必要のあるものをこうやって書くことに恥を感じる」「医師には6か月以内に手術をするように言われているが、保険がないので、ひどく多額になる。」と病院に行けないなど、苦しい実態が記されていました。仮放免の方の住所は、その年の増減分を国から示されることから、ある程度把握は可能です。市として生活実態の調査を行うべきですが、対応を伺います。

多くの子どもたちも希望を奪われています。 政府は8月、日本で生まれ育った在留資格のない外国人の子どもに一定の条件を満たせば、日本での在留を認める「在留特別許可」を出す方針を示しました。本市の対象者はいるのか伺います。教育費の負担軽減は切実な願いです。小・中学校は就学援助の対象となりますが、高校授業料無償化も対象になるのか伺います。

 医療について、2022年9月の決算審査特別委員会でわが党委員が「救急医療機関外国人医療対策費補助金」を受ける際の医療機関の事務手続きの改善を求めましたが、検討内容を伺います。「無料低額診療」は医療機関の負担となってしまいます。「無料低額診療」について、公的補助を国に働き掛けるべきと求めてきましたが、取り組み内容を伺います。行政サービスの情報提供について、国際交流センターのワンストップセンターが相談窓口になっていますが、仮放免の方が受けられる行政サービスをわかりやすく示す資料の作成や、ホームページへの掲載をすべきですが、伺います。また、相談だけでなく、伴走型支援を行う支援の体制を整備することが必要と思いますが、伺います。

答弁:市民文化局長

 仮放免者につきましては、仮放免の際に、行政上のサービスの詳しい内容について、各市区町村に直接問い合わせをする旨の「お知らせ」が手交されているところでございますので、本市といたしましては、ワンストップ センターなどにお問合せいただくことで、必要な情報提供や相談に対応し、関係部署につなげるとともに生活実態の把握に努めてまいりたいと存じます。

次に、一定の条件を満たした「在留特別許可」の対象者についてでございますが、国からの情幸階是供等も得られないことから、本市における対象者数については、把握しておりません。

次に、行政サービスの情報提供についてでございますが、仮放免者に対して手交されている「お知らせ」については、国における一律の様式となっており、各市区町村の問合せ先など力靖己載されていないことから、各市区町村に設置されているワンストップセンターの一覧ページが確認できるようにするなど、記載内容の充実に向けて、引き続き国に要望してまいります。

 また、仮放免者への支援につきましては、国や他都市の動向を注視するとともに、庁内関係部署との情報共有や連携を図りながら、仮放免者に対する清報提供や支援のあり方などについて検討してまいります。

今後も引き続き、仮放免者も含め、外国人市民が健康で安心して安全に生活するために必要な情報や行政サービスを受けられるよう取り組んでまいります。

答弁:健康福祉局長

 「救急医療機関外国人医療対策費補助金」につきましては、外国籍の市内居住者が、県内の医療機関において救急医療による治療を受けた際に、医療費の支払いが行われずに発生した損失医療費について、当該医療機関を対象に補助を行うものでございます。

当該補助金の執行にあたりましては、医療機関における医療費の回収状況等の事実確認を行う必要があることから、相応の事務負担をお願いしているところでございまして、関係団体を通じた丁寧な制度案内を行うとともに、申請の相談があった際には、具体的な要望事項を伺うなど、事務手統きの改善点について引き続き整理・検討してまいります。

次に、「無料低額、診療事業」につきましては、社会福祉法の規定に基づき、社会福祉事業経営者が生計困難者のために、無料又は低額な料金で診療を行う、第2種社会福祉事業と位置付けられております。

本事業につきましては、医療機関の未収金問題や社会経済情勢等を踏まえ、現在、国において検討がされており、 国の動向を注視してまいりたいと考えております。

答弁:教育次長

 高等学校における授業料の補助についてでございますが、国の制度である「高等学校等就学支援金」及び神奈川県の制度である「学費補助金」につきましては、これらの支給事務を所管する神奈川県によりますと、仮放免の方は対象とならないものと伺っております。

なお、本市の制度である川崎市立高等学校の「授業料」「入学選考料」及び「入学金」の免除制度や、経済的理由のため修学が困難な本市在住の生徒に対し奨学金を支給する「川崎市高等学校奨学金」制度におきましては、所得などの各種要件はございますが、仮放免の方も申請対象としているところでございます。

【最後の意見】

 この代表質問でわが党が根本的に申し上げたかったのは、川崎に住む市民の命と人権を本当に守る市政になってほしいということでした。平和のうちに生きる権利として、自衛隊の演習に抗議すべきでした。

物価高騰の中で苦しむ市民や子どもたち、高齢者、障がい者が安心して住める施策が足りないのではないか。痴漢撲滅も仮放免者の生活も、人権を守る立場でなければ対応できないことです。

非正規シングル女性や青年たちの住むところを求めたのも、まさに「住まいは人権」をどう体現するのか、ということでした。市役所の中でワーキングプアを生み出し、その8割が女性であるという会計年度任用職員の問題は、まさにジェンダー問題です。教員のパワハラなど言語道断です。

総じて、これらに対して、そうした声を上げている市民の皆さんが聞いたら、「どうやって生きていけばいいのか」「これでいいのか」という思いを抱かざるを得ない議論だったと思います。

 私たちは、川崎市に住む一人一人の市民が、その命と人権を本当に大事にされ、ここに住んでよかったと言えるようになるまで、市民の声を届け続けていきたいと思います。そのことを申し上げ、あとは委員会に譲って質問を終わります。