反貧困ネットワークを大きく広げよう~宇都宮健児弁護士が講演
10月11日、講演会「反貧困ネットワーク運動にとりくんで見えてきた貧困の現状と打開の展望」で、宇都宮健児弁護士から、市民ら182人が貧困問題の取り組みについて学びました。
多重債務者や弁護士、労働運動団体、市民団体らが共同して、サラ金・クレジット・ヤミ金・商工ローンの多重債務問題の解決に取り組み、2006年、画期的な新貸金業法が成立。貸金業会やアメリカ政府の激しい抵抗にも関わらず、グレーゾーン金利を撤廃させるという歴史的な解決となりました。
しかし、クレ・サラ問題の根底にある貧困問題は引き続き存在しています。借金を整理しても生活の再建がなされなければ、借金を繰り返してしまう。
宇都宮さんは、貧困問題に対して取り組み始め、貧困問題に取り組む団体・個人らと「反貧困ネットワーク」を結成、「反貧困世直し大集会」や「年越し派遣村」などの取り組みで、「貧困が存在する」ことを目に見えるように示して、貧困問題の解決を世論に訴えました。
宇都宮さんは、貧困問題を解決するための課題として、(1)貧困率を調査し削減目標を立てること、(2)最低賃金の引き上げや同一労働同一賃金制度の確立など、働く貧困層の対策強化、(3)働けない時でも人間らしい生活ができるようにセーフイティネットの強化、をあげます。
また、反貧困運動のこれからの課題として、(1)「関係の貧困」を解消する事含めて貧困当事者を支援すること、(2)貧困問題を社会的・政治的に解決するため当事者、消費者運動、労働運動、社会保障運動の垣根を超えた連携と連帯、(3)車の両輪のように平和運動とつながってすすめること、を指摘しました。
質問に答えて、貧困者は「帰るところが無い」「頼る人がいない」など社会的に孤立しており(「関係の貧困」)、雨露をしのげる場所を提供するだけでなくその人の心によりそって再生を支援する取り組みが地域毎に求められていること、「同質の集団の集まりは『和』にしかならないが、異質の集団の集まりは『積』になる」とイデオロギーを超えた運動の連携と連帯の重要性を訴えました。