石川けんじ
石川けんじ石川けんじ

小杉駅周辺の開発で居住環境は限界。市も「現在の地区計画にないものは、抑制する手法を検討」と回答。

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11月16日のまちづくり委員会で「武蔵小杉の超高層マンション建設見直しについての陳情(陳情第129号)の審査が行われました。この陳情は、「駅の大混雑、大気児童の急増、ビル風で歩けない街を改善してください」と出されたもので、①武蔵小杉駅利用者の安全を確保するため、ホームドアを優先し、駅混乱の抜本的な対策として横須賀線に新ホームを増設してください ②保育園に希望者全員が入所できるように、園庭のある認可保育園を増設してください ③ビル風と複合日陰で市民生活に支障がおきないよう対策を行ってください ④人口減少=住宅過剰時代を見据えて、超高層建築のまちづくりの見直しをしてくださいという陳情項目です。

これまで武蔵小杉駅周辺には10棟の100メートル以上の超高層マンションが建ち、今後さらに5棟の計画があります。市の説明では、今後約3000世帯の住宅が増える計画だといいます。今日の審議を通して共通していたのは、通勤時の混雑も保育園の利用も風などの環境も小杉のまちは限界に来ているということでした。市の答弁でも「現在の地区計画にないものは、(人口増を)抑制する手法を検討する」と答えざるを得ませんでした。

私は地元の方たちがこれまで調査してきた内容をもとに「限界」に達している現状と具体的な解決策はあるのか質しました。

① 小杉駅の混雑解消について、駅の乗降客数(往復)が約48万3千人で、高層マンションが建ち始めた2005年当時と比較して7万8千人増加、1.5倍にもなっている現状を示し、南武線や横須賀線などの増便も限界(南武線は1時間当たりピーク時で25本。横須賀線など通過5本を入れると23本。山手線のピークでも23本)だとして、これではホームドアもつけられず、限界に達している。これ以上の増加は無理だと指摘しました。宗田議員が「駅利用者数の推計はあるのか」と質したことに対し、「推計はしていない」との答弁には驚かされました。

② 保育園の整備では、中原区が最も待機児童が多いことや小杉駅北側には、保育園が13施設中(2018年2月現在)、園庭のある保育園が1~2箇所しかないことをないことを示して、望まれる保育環境となっていない。保育行政も需要に追いついていないとしました。市の答弁は「マンション建設の際、保育施設の整備を求めてゆく」というもので、増加するニーズに応える対策と言えないものでした。

③ ビル風については、強いビル風がタワープレスや中原図書館のあるエクラスタワー周辺が特に強い風吹く場所となっている。市として調査を実施するように求めました。

まちづくり局長は「事業者が観測し、必要があれば改善策を講じることになっている。それでも問題がある場合は市として実態の把握を行う」と、あくまで事業者任せの姿勢に変わりありませんでしたが、市としての実態把握もありうるとの答弁でした。

④ 超高層マンション建設の見直しの問題では、神戸市が土地利用誘導策で「特別用途地区」の指定を行い、住宅抑制策を検討していることを紹介し、川崎市でも検討するよう求めました。神戸市では、増加するタワーマンションを抑制するため地域によって「容積緩和策を行わない」としたり、三宮では特別用途地区の指定によって住宅等の立地は禁止することまで検討しています。容積率緩和を行い超高層マンションを誘導してきた川崎市のまちづくり方針を転換させることが必要です。質疑の中で、冒頭にも述べたように「現在ある地区計画以外では、抑制策を検討する」との答弁は、現状が限界に対しいていることを市が認めたもので、今後、注目されることになると思います。