テレビ神奈川の「予算議会を前に」に出演しました。
2月14日の午後8時から、テレビ神奈川の番組に出演し、川崎市の新年度予算いついて、お話しました。番組は、各会派の代表が出て、それぞれの予算いついての分析や要望を述べるもので、市民要求との関係で予算分析を行った日本共産党の立場に、「わかりやすかった」と感想が寄せられています。お話した内容は次のとおりです。
1、予算の特徴は?
私たちは、新年度予算案のタイトルを「歳入最大!市民要求抑制予算」と名づけました。予算規模も歳入も連続して過去最高です。2019年度以降は黒字が続きます。この財政を支えている要は、市民です。法人市民税がマイナスという中、個人市民税は31億5千4百万余の増で、2.7%も伸びました。しかし、小児医療費助成の小学校3年生までの年齢拡大など、拡充されたといわれるものでも、「所得制限」も継続されたままで、市民要求との関係から言えば、まったく不十分です。その一方で臨海部開発は、庁内の体制も強め、無駄な建設事業を始め、国際戦略拠点の整備に重点が置かれた予算となっています。市民生活重視に改めるべきです。
2、予算編成のできは?(注目する事業、不足と感じる施策など)
市長は「バランスの取れた予算」といっているようですが、市民から見れば、バランスを欠いた予算です。
予算総額は、3.2%の増ですが、分野別にみると、こども関連の予算では、小児医療費の拡充など予算を伸ばしましたが、高齢者・障がい者分野での予算は、細かく削るか、横並びです。中小企業支援も昨年12月に「振興条例」ができたにもかかわらず、入札制度の改善はあるものの、町場の経済を温めるものになっていません。その反面、大きく予算を伸ばしたのは、港湾関係・臨海部関係の予算です。港湾局の予算は、前年度比22%の増、特別会計も11%も伸ばしました。事業の内容は、総事業費300億円の羽田連絡道路、540億円の臨港道路東扇島水江町線をはじめとする橋梁工事や240億円の港の埋め立てなど、不要不急と中止を求めてきた大規模事業が並びます。4月からの機構改革で、臨海部国際戦略本部として戦略室から格上げされましたが、企業と一体となった臨海部の将来像を描こうとしていることにも、注意が必要です。
個別政策で見てみると、子どもの分野では、先ず、小児医療費助成制度ですが、「充実」といいますが、この4月に拡充するのは1歳だけ、小学校3年生までです。要望の強い「所得制限の撤廃」はしないままです。2017年度には、小学校6年生まで拡充するといいますが、このときは、所得制限はそのままで500円程度の一部負担金を導入するとしています。東京や他都市では、中学校3年生まで「所得制限なし」が当たり前になっているのに、財政状況がよいこの川崎市で、何を言っているのかと思います。そもそも、一部負担金の導入は「無料化」を掲げた市長公約にも反します。川崎でも、所得制限なしで中学卒業まで無料化を実施すべきです。
保護者の負担軽減では、義務教育における保護者負担の軽減も大切です。義務教育でも小学校では6年間で38万円余、中学校3年間では25万円余という大変な負担です。子どもの貧困問題が深刻になるなかで、就学援助制度の拡充が必要です。受給基準を今こそ生活保護基準を見直して、対象を広げるべきです。前市長が「行革」の一環として廃止した、ランドセル支給・文具券などの入学援護、修学旅行の支度金補助、卒業アルバム代補助、メガネ支給を本当に復活すべきですだと思います。「幼稚園の保育料への補助増額」や「入園料の補助の創設」など含め、教育費の負担軽減は切実です。
教育との関連で言えば、市長は「分かる」授業の実現に向けた教育改革として、「習熟度に応じた教育」を進めるとしています。しかし、「分かる事業」の実現に大切なことは、1クラスの児童・生徒数を少なくし、先生のきめ細やかな対応や友達同士の学び合いが可能になる環境を保障することです。「習熟度別」の教育を進めるのではなく、少人数学級の実現こそ、求められていると思います。
認可保育園待機児童の解消については、待機児童数の数え方がマスコミでも問題として取り上げられています。「育休・産休中の申請者」「第1希望のみ等の申請者」「給食活動中」「一時保育対応児童」など、現在カウントされていないケースもカウントし、より実態に合った整備計画にすべきです。昨年10月に発表になった待機児童数は89人でしたが、カウントされなかった児童数は2166人にも上ります。新年度の認可保育所整備の計画は、1390人となっていますが、人口増や「隠れ待機児」などの実態からすれば、さらなる整備が必要です。
高齢者分野で言えば、特養ホームの整備の遅れは、高齢者の貧困と関連して、まさに待ったなしの状況だと言えます。このグラフは、特養ホームの待機率を人口100万人以上の政令市と比較したものです。対規率はワースト2、横浜市の3.3倍もあります。特養ホームの増設を求めてきましたが、5000人以上の待機者に対し、2017年度開設予定を加えても、3か所、316人ほどの拡大しか計画されていません。抜本的に足りません。
3、「成長と成熟の調和による持続可能な最幸のまち・かわさき」をどう見るか?(3分)
『持続可能な最幸のまち』この標語の基本目標とされたのが「安心のふるさとづくり」と「力強い産業都市づくり」です。予算の配分からは、「力強い産業都市づくり」に力点があるように思います。
市長とは12月議会で「基本構想」について議論したとき、「住民福祉の増進」を計画に明記すべきと迫ったのに対し「成長と成熟が調和」すれば、「住民福祉の増進」が図られると、「住民福祉の増進」を明記しようとしませんでした。「市の経済成長がうまくいけば、市民にも恩恵が回ってくる」という発想です。これは逆転した発想です。
とくに、今、格差社会、貧困問題が深刻になっています。川崎市でも非正規労働が広がる中で、年収300万円未満の労働者が31万5千人、市内労働者の44%を占め、200万円未満の労働者は、19万人、26.5%にもなります。働いてない方はどうか。国保加入世帯の状況で見ると300万円未満の世帯が加入全世帯の81.6%で、毎年、その割合が増えています。こうした中で、「子どもの貧困」は6人に一人になり、高齢者も4~5人に一人は「貧困状態」といわれています。こうした現実に取り組リ組むことが必要です。
「住民福祉の増進」という地方自治体の役割は一層増しています。今日述べてきましたが、市民要求に応える責任が私たちにはあります。幸い、川崎市の財政力は政令市トップです。昨年の委員会で、今後の大規模事業の事業費が6230億円あり、市が「決して無理あるものではない」と答弁しましたが、これは、川崎市には6230億円もの大規模事業を行うことのできる財政力があると認めたものです。であるならば、その財政力を市民生活と地域経済の活性化のために有効活用するのは当然です。
しかし、市が市民に示した「行財政改革に関する計画素案」は市民にこれまで以上に負担を押し付けるものです。フリップに主なものをまとめてみました。
子どもの医療費助成事業に一部負担金を導入することは、前にお話しましたが、さらにこの中には、高齢者の外出支援事業、つまり「敬老パス」ですが、「持続可能な運営に向けた検討」として、年齢の引き上げや、料金の値上げを検討、保育料の「見直し」という値上げ検討。まだ、これから検討とのことですので、広範な市民の皆さんと共に、市民いじめの「行革」は跳ね返してゆきたいと思います。
4、今後の市政課題
減債基金の借り入れが議会でも度々問題となりますが、ここにはまやかしがあって、新年度も減債基金からの借り入れがあるといいますが、新年度も470億円の減債基金の積み立てを行っていて、その残高は2047億円を超える予定です。後で借りるなら、はじめから積み立てを減らせば済む話です。減債基金からの借り入れを問題にしますが、もともと市のお金、市民のお金です。これを市民のために使うことは、なんら問題はありません。 市民に支えられた財政力を市民のために活用するため、予算議会では、組み換え案を出し、市民の顔に本当に笑顔があふれるようにがんばりたいと思います。