石川けんじ
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川崎市2014年度予算の特徴・ささやかな市民の期待の裏に大規模開発目白押しの予算(その1・保育園待機児童の解消は?)

 

市税収入の増というけれど・・・厳しい現実

2月18日から行われている第1回定例会で2014年度の予算案の審議が始まりました。一般会計の総額は6,171億円で前年度比187億円の増となっています。市税収入は2,922億円で78億円の増となっていますが、法人市民税や個人市民税、固定資産税の増がその要因とされています。

これだけ聞くと、川崎市民の所得が上がったのかと思いますが、これは、人口増によるもので、市民一人当たりの所得は、前年度比99.3%と減少しています。給料は減り続けている中、市民の暮らしが厳しさを増しているのが実態です。法人市民税についても、大企業は好調でも、市内中小企業の実態は「仕事が減っている」「工賃などの単価が安い」など利益が減少している実態にあります。

保育園待機児解消や中学校給食など市民の期待はどうなる?

福田市長が目玉として押し出しているのが「保育園の待機児解消」と「中学校給食の実施」です。これは、市民の切実な要求です。まず、保育園についてみてみました。

増加する入所申請数。入所不承諾は2762人(1月28日現在)と同時期の過去最高となりました。

まず、保育園の待機児の解消についてです。福田市長は、2015年4月に待機児童ゼロを実現するとして、新年度予算案で2014年度の認可保育所の受け入れ枠1540人増やし、川崎認定保育所(※1)の受け入れを900人増やすとしています。

※1児童福祉法第35条第4項に規定する保育所の認可を受けていない保育施設(認可外)のなかから、一定の要件等を備えた施設を市長が認定し、本市が運営費の一部を助成している保育施設です。

2014年4月の定員は、2013年度中の整備によって、昨年比で1270人増やしましたが、新規の申し込みも過去最多の7806人と過去最高となり、申し込んでも入所できなかった人数は、1月28日現在で2762人、宮前区でも428人となりました。認可保育園の整備をスピードを上げて整備することが求められます。

川崎認定保育園の保育料補助を増額。一律月5000円から年齢・所得に応じて月5000円、10000円、20000円に改善

認可保育園に入れなかった場合、認可外の保育園を探さなければなりません。地域保育園と呼ばれるもので、一定の条件を満たす施設は「川崎認定保育園」として利用児童に補助を行っています。新年度予算では、その補助額が増額されています。これは、保護者の負担軽減を図るうえで、評価できる施策です。

3歳未満 認可保育所の保育料所得階層が

D16以下 20000円 D17以上 10000円

3歳以上 5000円

保育士不足が指摘される中、公立認可保育園の民営化は問題があります。

保育園不足の解消とともに、福田市長が推し進めようとしているのが公立保育園の民営化です。前市長に引き続き「民間にできるものは民間で」と各区に3か所だけ公立認可保育園を残し、あとは民営化するというのです。これまでも保育園の民営化には反対してきましたが、それは保育というものは「継続性」が大切な事業であり、保育士の育成という点からも、安定した雇用環境の中で保育士を育成することは、保育の質を高めるうえでも大変重要だからです。とりわけ株式会社経営の保育園では、保育士の経験年数が少ないなど、幾たびも議会で問題にしてきました。「公立が経費が高い」と言われますが、それは経験を積んだ保育士が配置できているということで、こどもにとって悪いことではありません。「財政的理由」からこどもたち、保護者と保育士との信頼関係を無理やり断ち切る民営化は、市長の掲げる「子どもの笑顔」とは正反対のものだといわなければなりません。