石川けんじ
石川けんじ石川けんじ

決算特別委員会報告(その2)認可外保育園の指導について

 

(質問の概要)

今年4月8日に、宮前区の認可外保育園「保育室 チャイルド宮前」で起きた、乳児の死亡事故について取り上げました。死亡事故は、「SIDS(乳幼児突然死症候群)」との診断でしたが、うつぶせ寝の状態で心肺停止になっていたことから、「あおむけ寝」を指導している、市の「地域の保育園運営の留意点」に反するのではないかと質しました。また、この保育園では、09年度も園長が児童の腕を噛むという事件を起こしており、市の立ち入り調査もしばしば行われていた園でることから、市の発行する「認可外保育園施設指導監督基準を満たす旨の証明書」の取り消しを求めました。近藤子ども本部長は「医学上の理由から、うつぶせ寝を進めることもあり、一概に基準に反しているとは認められない」としつつも、うつぶせ寝をした事実関係を再度調査することを約束しました。また、「証明書」の取り消しについては、「改善状況を確認」したので「返還は求めなかった」としました。私が、保護者が保育施設を選ぶ際の市の情報提供の改善を求めたのに対し、「プライバシー保護の観点もあるが、検討してまいりたい」と答えました。

市議会インターネット中継(録画)

http://www.kawasaki-council.jp/

(質問全文)

認可外保育園への指導について

(質問1)

認可外保育施設は2010年7月1日現在72箇所あります。認可保育園に入れずに利用しているという子どもたちが、多くいることは容易に想像できます。こうした、認可外保育園の保育水準はどのように保たれているのか、また、認可外保育園への市としての支援策はどうなっているのか、21年度決算の内容に基づいてお示しください。

(答弁1・こども本部長)

認可外保育施設の保育水準等についてのご質問でございますが、初めに、保育水準につきましては、平成13年11月30日に児童福祉法の一部を改正する法律が公布され、認可外保育施設に対する届け出制の導入、運営状況の定期報告の義務付け、改善勧告等の法制化により、認可外保育施設をより効果的に把握し、指導の強化を図ることとされたところでございます。

また、認可外保育施設に関する情報を提供することとし、保護者自身による保育サービスの適切な選択を担保し、悪質な認可外保育施設の排除を図ることとされたところでございます。

本市の認可外保育施設におきましては、保育水準が高い施設とともに、指導の必要な施設もございますので、保育水準の向上のために、本市の非常勤職員により、立ち入り調査を実施し、保育に関する指導・助言を行っているところでございます。

次に、認可外保育施設への支援についてでございますが、平成21年度決算額で、かわさき保育室援護費が1億9千737万1千130円、地域保育園援護費が、8億6千744万5千950円となっております。

また、公立保育園職員が参加する年間10回程度の研修について、認可外保育施設にも案内を行うとともに、認可外保育施設の職員を対象に、「保育の内容につて」「保育所保育指針について」等の研修会も年2回実施しております。」

(質問2)

2010年4月8日 宮前区の認可外保育園「保育室 チャイルド宮前」において、11か月の男の子が保育中に息を引き取りました。預けて6日目のことでした。食事後の睡眠でうつぶせに寝かされ、約2時間後、寝かしつけたときと同じ体制で、心肺停止の状態でした。原因と市の対応、とりわけ事業者に対する指導について、その内容を伺います。

(答弁2・こども本部長)

平成22年4月8日に発生した事案についてのご質問でございますが、宮前区内の認可外保育施設において、保育中にお今さんがお亡くなりなりましたことにつきましては、ご家族の皆様に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、お子様のご冥福を心からお祈り申し上げます。

初めに、本事案の原因につきましては、施設より乳児突然死症候群であったとの報告を受けております。

次に、本市の対応につきましては、4月9日に状況の確認を行いまして、4月12日に施設を訪問し、再度、状況確認を行うとともに、厚生労働省・児童家庭局長通知「認可外保育施設に対する指導監督の実施について」による、別紙様式6「事故等についても報告」の提出を求めたものでございます。

また、乳幼児突然死症候群の予防について、施設での留意事項として、うつぶせ寝への配慮、温度・湿度・換気への配慮、睡眠時チェック表の活用等について指導・助言を行ったものでございます。

(質問3)

うつぶせ寝は大変危険な行為です。『赤ちゃんの急死を考える会』という全国の会がありますが、会員を対象とした調査では、死亡事故の発見時、9割はうつぶせ寝であったという結果が出ています。市が出している「地域保育園運営の留意事項」にも、「乳幼児突然死症候群の予防」として「仰向けに寝かせること」としています。もちろん、子ども自身が自分で体勢を変えることもあります。通常、その際でも、突然死に対応するためにチェックリストを作り、お昼寝中も、乳児の場合は大体15分に1回ぐらいはチェックすることとなっています。今回の事故のケースでは、寝かしつけたという11時20分ごろから発見した(その時には息の確認ができなかったとされていますが)13時20分までの間、何回、チャックしたのでしょうか、伺います。また、ご遺族が園長らに説明を求めた際、「足を伸ばし、お腹は下向き、顔は右向き」の状態で寝かしつけたと説明されました。また、「腹ばいで寝かしつけた」と「おなかが下でも顔が横を向いていたので、うつぶせ寝とは言わぬ」と説明し、「腹ばいだから仰向けに戻さなかった」「せっかく寝たのに起こしてしまう」「異常があれば泣くのでわかる」と言ったそうですが、これらの発言は、「うつぶせ寝」がいかに危険かを理解していていないだけでなく、「留意事項」にも反すると思いますが、見解を伺います。

(答弁3・こども本部長)

乳幼児突然死症候群の予防についてのご質問でございますが、初めに、当該児童の睡眠時の確認につきましては、午睡に入った後、約15分後に睡眠を確認し、その後については、子ども達が寝ている間、その部屋に一緒におり、子ども達全員を定期的に観察していたと伺っております。

また、乳幼児突然死症候群の予防のチェック表への記入につい来ましては、「認可外保育施設指導監督基準」の項目ではなく、平成21年度から、各施設に対して、利用するよう助言を行ったものでございまして、15分ごとのチェック表への記入はしておりませんでした。

なお、この度の事案が発生した後、当該施設に対しては、乳児の睡眠中の顔色や呼吸の状態をきめ細かく観察することをさらに意識付けるためにも、15分毎に確認することが出来る、乳幼児突然死症候群の予防のチェック表をするよう指導を行い、現在は、チェック表を記入するように改善されたことを確認したところでございます。

次に、うつぶせ寝についての見解についてでございますが認可外保育施設指導監督基準」には、乳幼児突然死症候群の予防として、「午睡中の児童の顔色や呼吸の状態をきめ細かく観察すること」、「保育室では、近年を厳守すること」と示してあります。

ただし、「仰向け寝は、乳児突然死症候群のほか、窒息の予防にも有効であるが、医学上の理由から医師がうつ伏せ寝を進める場合もあるため、入所時に保護者に確認する等の配慮が必要であること」という考え方も示されておりますので、一慨に基準に反しているとは認められないものと考えております。

(質問4)

うつぶせ寝も医師の指示があれば、勧める場合もある。保護者の意思を確認することになっているとのことで、一概に基準に反しているとはいえないとのことです。今回のケースの場合、うつ伏せにするよう意思の指示はあったのか、保護者の確認はあったのか、伺います。

(答弁4・こども本部長)

保護者の意思はあったのか、医師の指示はあったのかということですが、確認はしておりませんが、寝かしつける姿勢については、事故のあった4月12日に施設を訪問し、状況を確認したところ、うつぶせ寝はさせてないという報告を受けているところでございます。また、5月19日には立ち入り調査を実施したところでございます。

(質問5)

私の調査では、4月12日に直接、職員に話を聞いたところ、腹ばいで寝かしていたと保育園の職員が証言し、5月19日に再度立ち入り調査をした場合に、うつぶせ寝はしていないと証言を訂正したと、市の報告があったというふうに伺っていますが、この事実に間違いはないか、もう一度、ご答弁お願いします。

(答弁5・こども本部長)

寝かしつけた姿勢についてですが、先程、申しましたように、当該児童を寝かしつけた姿勢につきましては、4月12日に施設を訪問し、状況を確認し、うつ伏せはしていないと報告を受けているところでございます。また、5月19日には施設の立ち入り調査を行ったところでございます。

(質問6)

私が市からききとったり、調査したりした内容と異なりますので、ここで、ぜひ、どういう状態でお子さんを寝かしつけたのか、事実をはっきりさせることが必要だと思います。この件に関しては、再度、保育園側に調査して、事実関係の確認をしてほしいと思いますが、いかがでしょうか。

(答弁6・子ども本部長)

5月19日に立ち入り調査のときには、うつぶせ寝はしていなかったという口頭での説明は受けておりますが、いま委員からのご指摘でございますので、再度、保育園の方の調査を行いたいと思います。

(質問7)

さらにこの園では、市の立ち入り調査でも、問題点がいろいろ指摘され、文章による改善指導も行われていたと伺っています。この5年間で何回の対入り調査がおこなわれ、どのような指導、改善がなされてきたのか伺います。

(答弁7・こども本部長)

立ち入り調査についてご質問でございますが、初めに、平成17年度から21年度までの5年間に、定期的に行う年1回の立ち入り調査を5回、その他随時の立ち入り調査を6回で、合計11回実施しております。

次に、当該施設に対する指導とその改善につきましては、例を上げますと、児童が手を洗う際、洗面台に水をためて複数の児童が同時に洗っていたこと、乳幼児が保育室から簡単に立ち入ることが出来ないように調理室が区画等されていなかったこと、職員のうち1名の健康診断が実施されていなかったこと、おむつを交換した後の手洗いがされていなかったこと、などについて指導を行い、その後、改善していることを、確認しております。

また、平成21年度には、1歳半の女児が友達を噛む癖があり、注意しても聞かないので保育士が痛さをそらせるということで、その女児の左腕を噛んだことがあり、本市としては、立ち入り調査を実施し、口頭指導をおこなうとともに、文章による改善指導を行いました。

なお、この件につきましては、文章に手回答を求めるとともに、施設の当事者からも謝罪の言葉があり、反省したものと認識し、その後の状況からも改善が図られたものと、確認しております。

(質問8)

保育士が子どもを噛むという信じられない行為がおこなわれ、文書指導がなされ、それに、「もうおこなわない」と回答が寄せられたことで、この件はかた付けられています。しかし、本来、児童虐待であり、傷害事件ともなるこうした行為が、文章のやり取りだけで、かたづけられて良かったのでしょうか、少なくとも、「認可保育園施設指導監督基準を満たす旨の証明書は取り消すべきではなかったかとおもいますが、なぜ、取り消さなかったのか、伺います。

(答弁8・こども本部長)

「認可外保育施設指導監督基準を満たす旨の証明書」についてのご意見でございますが、同証明書につきましては、国の通知により、本市が当該施設に立ち入り調査を実施し、調査項目すべてについて適合しているとこを確認した場合に、当該施設の設置者に対することとされております。

また、口頭指導や文章指導等の改善指導を行った場合であっても、その指摘事項の改善状況の確認により、調査事項全てについて適合していることを確認して場合には、同証明書を交付した事実につきましては、インターネットへの掲載等により公表することとされております。

したがいまして、当該施設につきましては、過去に改善指導を行っておりますが、その指摘事項の改善状況の確認した場合には、同証明書を交付した事実につきましては、インターネットへの掲載等により公表することとされています。

従いまして、当該施設につきましては、過去に改善指導を行っておりますが、その指摘事項の改善状況が確認し、調査項目すべてについて適合していることを確認しておりますので、同証明書の返還は求めておらず、本市ホームページに、その旨の情報を掲載しているところでございます。

(質問9)

確かに、かむという行為はなくなったかもしれません。しかし、その後も、市には保護者からの苦情が寄せられています。(内容を1,2出す)とりわけ、職員体制については、度々指摘を受けています。こうした中で、死亡事故は起きました。とりわけ、カムというようなあるまじき行為をおこなった際、市として、さらに、厳しい対応が出来ていれば、今回のような事故は未然に防げたかもしれません。ご遺族にお逢いして私がもっとも、心を痛めたのが、「なぜ、この園を選んでしまったのか。」という、選んでしまったことに対する、後悔の念でした。一人目のお子さんで、地域での結びつきも少なく、園の情報も入ってこない。もちろん、認可保育園への申し込みはおこないました、待機児となり、通わざるを得ませんでした。この円を選んだのは、10月、市のインターネットを見て施設を探し、家から近く、通勤にも便利なところでした。「いまなら、0歳児の枠が1名空いています」と言われ、とりあえず、入園の手続きをとったといいます。「これだけの苦情や問題点があれば、けして子どもを預けるようなことはなかった」「こういうことを知っていた市の職員の方は、ご自分のお子さんを預ける気になるでしょうか」こう訴えていました。市のホームページには、「認可外保育園施設指導監督基準を満たす旨の証明書発行済み」「改善指示事項件数 0件」と市がお墨付きを与え、なんら問題のない園と言うことになっています。さらにこの園では、認定保育園だった頃に、援護費の不正請求が06年に指摘をされこの10年間の児童の死亡事故4件のうち、今回のケースを含め、2件が「保育室 チャイルド宮前」で起きています。しかし、こうした情報は、利用者に園の情報が正しく伝えられているとはいえません。利用者の知る権利をどうしたら保障することが出来るのか、ぜひ、検討していただきたいと思いますが、対応をうかがいます。

(答弁9・こども本部長)

認可外保育施設の情報提供についてのご質問でございますが、認可外保育施設に対して、施設の状況について情報提供することとされております。

その、項目及び方法につきましては、施設の名称、所在地、サービス内容、有資格者である保育士数を含めた保育従事者数、指導監督における指摘事項等の公表事項を、すべての届け出対象施設を対象として、同一の項目で同一の形態により、インターネットへの掲載や窓口での閲覧により提供することとされています。

本市における情報の公表および更新につきましては、児童福祉法第59条の2の5に、「毎年、厚生労働省令で定めるところにより、当該施設の運営の状況を都道府県知事に報告しなければならない」と規定されており、本市においては、毎年10月1日時点で各施設から所定の報告をいただき、その後、立ち入り調査を実施するため、公表の時期を立ち入り調査を立ち入り調査終了時と定めているところでございます。今後については、公表の時期や情報提供の方法等について、検討してまいりたいと存じます。

(質問10)

今後について、公表の時期や情報提供の方法など、検討してまいりたい」とのことですが、これは、保護者に指導内容や保育内容がわかるよう、改善策を検討するということでよろしいでしょうか、確認いたします。

(答弁10・こども本部長)

公表の時期や情報提供の方法についてのお尋ねですが、指導や保育の内容等につきましては、個人情報の問題もありますことから、慎重な対応について検討してまいりたいと思います。